アナリティクス

2012年12月1日土曜日

ソノ作


「2012年12月1日」
街路樹の銀杏は秋に彩りて
黄金の色映えて美し

野辺に咲くあわだち草は群れて咲く
黄の花重く風に波打つ

人として価値うすれゆく老齢も
進歩する世に未来を憂う

今宵又救急車の音暗を行く
如何なる人ぞ我身重ねて

野を行けば華やかに見る花なれど
哀愁ひそむ曼珠沙華かな

老集い打明け話に泣き笑う
同じ悩みに心開きぬ

此の世には悔もなければ未練なく
されど薬を感謝して飲む

今日も又行方不明の探索に
防災藤沢拡大に渡る

着飾りし物もなければ我がひと世
せめて歌でも残し逝かんと



「2011年11月26日」
平凡は幸せなりと思う時
人情に生き恩恵を思う

日米の女子バレーの接戦に
年を忘れた拳握りて

資源ゴミ古き衣類すてましよか
又捨て切れずソツト仕舞いぬ

米二斗で戦時に求めしこの箪笥
我が身と共に色褪せて老ゆ

赤き衣をまといし小さきワンちやんを
連れて行く人の幸せな顔

日々に見る秋本番の山々は
紅葉の錦色勝りけり

小春日よ縁に一人の日向ぼこ
何時しかわたし別世界なり

今の世になりても見る飛行機に
追われ逃げても追駆けらる夢

久し振り友に逢えたる嬉しさに
皺寄せ合いて青春語るも

行きづりに見た様な人と見返れば
彼の女(ひと)も又振り返りたり


「2010年11月13日」
今日の日は菊花薫れる明治節
教育勅語の代代(よよ)は遠けり

惜しまれて名声残して引退と
二葉百合子よ岸壁の母

早朝に木々を巡りて山鳩よ
悩みあるがに切々と啼く

育てたる木や花達よ嘆くらん
為す術もなき異常気象に

五才児の赤いリボンの曾孫来て
泣いて笑ってしばしアイドル

紅葉に錦織りなす絶景に
テレビの画面に心奪わる

澄み渡る秋空の中に浮雲は
蒸しパンと見る食欲の秋

小春日を喜び合える秋の蝶
睦みては舞う今日を名残りつ

百円に満たざる額で届く文
参枚綴りを味わいて読む

足に蚊がジツト見るなり赤くなり
ポトッと落ちしどちらも変ネ


「2009年11月14日」
天高くあくまで蒼き秋空に
白雲一点又絶景かな

お隣りもお向かいさんも我が家も
菊花薫りぬ今日文化の日

小春日を喜び舞える秋の蝶
何時しか消えぬ秋を名残りつ

交差点青待ち居ればチヤイム鳴り
そぞろ気の急く秋の黄昏

空襲に逃げ惑いたる夢の中
六十四年今も去らざる

浪曲に涙で聞きし三十分
今も世に泣く原爆の母

午前四時バイクの音に目覚めたる
ダダダ足音朝刊届く

靴墨の匂い懐し妻の座に
励みし昔磨きたる靴

白髪に深き皺々母譲り
よくも似たりし猫背なりしも

昼下がりトボトボと行く老い猫に
哀れさを見る我身重ねて


「2008年11月」
Tさん今日は目出度い誕生会
和気藹藹にM家の宴
(長生きしてネ)

花屋さん色気競いて咲く小菊
いづれ劣らぬ花の青春

みんな留守水団作りシミジミと
戦時の膳貧しさを思う

病院の控え室の大半は
後期高齢戦時知る人

有難う済まないネとは老い行けば
一歩譲りし常識ならんや

銀杏の葉は蝶舞う如く散り初めし
手に受けて見る黄金の色

豆腐屋はラッパの音色懐しも
哀調引きて黄昏を行く

勢一杯紅染めて散る紅葉には
又来る春のあるもねたまし


「2007年11月」
誕生会祝われる人祝う人
喜び分つM家の宴

八十の坂越え来て日々のつれづれに
拙なき歌を点す灯火

鈴なりの柿存分にいたゞきて
梢に一つ残し仰げる

光浴び庭に咲きたるつわぶきの
色艶めきて緑の花

満点の空は今宵は十三夜
届けて見たい我が心かな

庭に生う木々達ヒソと我が暮し
見知りてあらん四季の巡りに

亡き姉の形見の品戴きて
その移り香に再び涙