アナリティクス

2021年9月3日金曜日

植物が水を吸う仕組み

(根圧)
植物の根は、付け根から伸びる主根、そこから枝分かれして伸びるのが側根、その先に生じる細かいひげ根の根毛からなる。根毛は、細胞内に糖分、ナトリウム、カリウムなどの物質を多く取り込み、土壌よりも浸透圧が高くなっているため、土壌から根に水が流れ込むようになっている。植物の細胞は、半透膜で包まれた状態で、細胞液という液体で満たされている。半透膜は、水は通しても、水に溶けた他の物質は通さない性質をもっている。半透膜で仕切られた細胞では、細胞の外側と内側で浸透圧が働き、細胞液の濃度が外側よりも濃いときは水を吸収し、薄いときは逆に水が外部にしみ出す。植物では、浸透圧は、根の内側ほど高くなっていて、根毛が吸い込んだ水は、浸透圧の差によって、根の内側の導管へ運ばれるようになっている。そして、植物の内部には、導管という水を運ぶ専用の水路があり、この導管を通じて、水は植物の隅々にまで送られる。浸透圧の差を利用した、水を吸収する力は根から地上部へ水を押し上げる力として働く。これを根圧という。

(蒸散)
水を吸い上げる力のメインとなっているのは、葉が気孔を開くことによって起こる水の蒸発、つまり蒸散である。蒸散によって葉の水分が失われると、葉の細胞液の濃度は枝や幹よりも高くなる。そのため、濃度を下げようとする浸透圧が働いて枝や幹から水を引っ張り上げる。根圧によって根が水を押し上げ、蒸散によって葉が水を吸い上げる力が、水を根から茎、葉へとつながる一本の水柱へと変えていく。

(凝集力)
水の分子は、分子間に静電的引力が働き、お互いに引き合おうとする性質がある。この力を凝集力という。水の強い凝集力と、導管の壁が水と非常になじみやすい組成をもっていることによって、高い樹木でも根から頂上までの導管内では、気泡を生じることなく水柱がつながり、吸い上げることができる。