アナリティクス

2008年3月20日木曜日

吉本隆明

1)結婚して子供を生み、そして、子供に背かれ、老いてくたばって死ぬ、そういう生活者をもし想定できるならば、そういう生活の仕方をして生涯を終える者が、いちばん価値がある存在なんだ。

2)市井の片隅に生まれ、育ち、生活し、老いて死ぬといった生涯をくりかえした無数の人物は、千年に一度しかこの世にあらわれない人物の価値とまったくおなじである。

3)そういう生き方をもっとも価値ある生き方とすれば、大なり小なりその逸脱でしか人間は生きられない。

4)何歳から始めようと、年寄りから始めようと、いっこうにさしつかえない。十年やりゃあいい。

5)ある現実的な体験は、体験として固執するかぎり、そのような普遍性をももたないし、どのような歴史的教訓をも含まない。ただ、かれの「個」にとって必然的な意味をもつだけである。