アナリティクス

2021年10月4日月曜日

モノプソニー

『労働者を雇う会社側の力が強くなりすぎ、労働者が「安く買い叩かれる」状態(モノプソニー)になると、企業は本来よりも過剰な利益を稼ぐことになります。しかし、企業に生じるメリットは、労働者が被るマイナス分よりも小さいとされています。結果として、個人消費の減少を招き、国の税収も低減してしまうので、社会全体に大きなダメージが生じるのです。

振り返ってみれば、労働市場を緩和し、非正規雇用を拡大したときが転換点でした。あのとき、企業の力が強くなりすぎないように、同時に最低賃金を引き上げる政策を打たなかったのが、決定的なミスだったのです。

日本の中長期的な将来を考えれば、企業の統廃合を進め、ドイツのように中堅企業と大企業で働く労働人口の比率を高めることが求められます。労働者を雇う会社側の力が強くなりすぎ、労働者が「安く買い叩かれる」状態を抑える産業構造を実現するためには、継続的な最低賃金引き上げが必要なのです。』