『腕の付け根の前側の、肩関節の痛みで、MRIなどで調べても肩関節の構造には問題がなく関節が拘縮して(固くなって)いる場合で、いわゆる「五十肩」の状態です。
原因としては、多くの場合、力こぶをつくる上腕二頭筋の長頭腱が炎症をおこしています。その腱が関節の中に入る付近や、関節の中での同腱の近くが炎症で痛みます。痛みのため腕を動かさずじっとしていると、炎症のために関節の袋(関節包)が癒着を起こし、上腕骨の頭の部分が動くスペースが少なくなり、動かすと突っ張って痛む、そうするとまた動かさない、という悪循環を来たし、さらに関節の可動域が狭くなってしまいます。
治療は、多少痛みを伴っても何とか肩関節を大きく動かすことが基本です。お勧めは仰向けで横になり、痛い方の腕が前から上にあがるように、肘のあたりを反対側の手で後ろに押す体操です。このように行うことで肩甲骨が固定され、肩甲骨と上腕骨頭の間を動かし易くなります。症状が軽いうち、癒着が少ないうちに鎮痛剤を飲んだり、張り薬を貼ってでも動かすことです。癒着が起きて症状が進んだ状態でも、できるだけ動かした方がよいでしょう。痛みが強ければ、悪化防止のために関節へステロイドなどの注射を打つことが有効な場合もあります。』