いーぐるの後藤雅洋さんが、
90年代、オーネット・コールマンにインタビューして
彼のハーモロディック理論について聞いた。
以下、コールマンの説明である。
「ハーモロディックは、演奏者も聴き手も、
自らのパースペクティブを変えることなく、
あらゆる方向へ自由に発想を変化させるための
コンセプトである。
音楽でいえば、誰か特定の人物が
リーダーとなるようなシステムではなく、
またメロディラインやテーマといった、
あらかじめ固定された音楽的要素が
演奏の規範となるものでもない」
さらに彼は述べた。
「私が歩いていると、口に草をくわえた人が
道端に立っていた。
その瞬間、私はその人を自分のステージに
迎えたいと思った。
なぜなら、その人物の在りように、
表現の多様性を見たからだ」
つまりこれがオーネット・コールマンの
考え方なのである。
「ジャズ喫茶のオヤジはなぜ威張っているのか」後藤雅洋(河出書房新社)より