「タコは、甲殻を持っておらず、身を守るため、海底の沈み磯(岩場)の中に潜み、潮汐がゆるくなる時間帯を見計らい岩場から出てきては、砂地でイシガニや小魚や貝を短時間で捕獲するが、潮目が変わると慌てて住処に戻ろうとする。
隠れる場所の少ない砂地は、タコにとって危険地帯であり、ときにマダイなどの餌になることも多く、そこに絶好の隠れ場所があれば、タコはこれ幸いと入ってくる。海底から蛸壺を引き上げる際も、壺から逃げるタコは滅多におらず、壺の中でじっとしている。これが蛸壺漁の原理である。
引き上げた蛸壺から、タコを力ずくで引き出すことは難しいが、塩もしくは濃い塩水をかけると、タコが自ら蛸壺から這い出てくるので、これを捕らえる。」