アナリティクス

2022年5月21日土曜日

スズメバチ

スズメバチの巣作りは、5月ころ、女王バチが1匹で開始します。その後約1ヶ月の間、巣の中には女王バチとその幼虫や卵などしかいません。この時期の巣は小さく、女王バチもたいへん臆病なので、巣を取り除くのも簡単です。

しかし夏から秋にかけて、働きバチがどんどん増えていきます。働きバチが多くなるほど、外敵に対する攻撃性は高くなり、危険性も大きくなります。じっさいに、ハチ刺され事故は8,9月に集中しています。10月以降になると、雄バチや、働きバチより体の大きな新女王バチが増えてきますが、これらには外敵に対する攻撃性はほとんどありません。ただしハチの種や地域によっては、10月以降も働きバチが活発に活動することがありますから、油断は禁物です。

スズメバチは外敵が巣に近づくと、「これ以上近づくな!」という意味の行動をとります。
・相手の周りをしつこく飛ぶ
・相手に狙いをつけて、空中で停止する
・あごをかみ合わせて「カチカチ」という音を立てる
こういうときには、できるだけじっとして、ハチが飛びさるのを待ちましょう。こわいのでつい手でふりはらったりしがちですが、すばやい動きをするとハチは攻撃してくるおそれがあります。巣から離れた場所にいるハチはわざわざ人間をおそうことはありません。

ただしクロスズメバチやキイロスズメバチなどは、人間の汗とか、弁当、ジュースなどのにおいにひかれて寄ってくることがあります。こうしたハチは、上に書いたような行動はとらず、肌の上や食物の上に止まろうとします。こうした場合も、強く手をふったりすることなく、そおっとはらいましょう。

スズメバチとの出会いでいちばん危険なのは、ハチの巣があるのを知らずに、ふんだりゆらしたりしたときです。この場合、たくさんの働きバチがすぐにおそってきます。そういうときはどうしたらよいでしょうか? もし逃げられるなら、できるだけ遠くへ逃げましょう。ハチが追いかけてくる距離は、もっとも危険なオオスズメバチでも80mくらいといわれています。

逃げるときには手をふったりすることはさけ、少し身をかがめ気味に逃げます。急な坂だったり障害物があるために急いで遠くへ逃げられないときは、巣からできるだけ離れて、首から上を服などでかくし、肌が出ているところをできるだけ少なくして、身をかがめ、その状態のまま、その場所から少しずつ遠ざかりましょう。

刺されても、全身症状が出なければ、命にかかわる心配はほとんどありません。でもハチ毒は敵を追いはらうために進化したのですから、強烈な痛みをもたらす成分が配合されています。刺された痛みをやわらげるために、つぎのような方法があります。

1.毒を取り除く
刺されたらすぐに毒を除去し、体内に取り込まれる毒をできるだけ少なくしましょう。市販されている吸引器(ポイズンリムーバー)を使うと、うまく吸い出せます。野外活動のさいには携帯しましょう。

2.傷口を冷やす
はれや痛みには、刺された場所を氷のうなどで冷やすのも効果的です。

3.薬を使う
はれや痛みがひどいときは、ステロイド軟膏を塗ったり、抗ヒスタミン剤を服用します。病院で症状を話し、処方してもらいましょう。なお、アンモニアや尿を塗るのは効果がないばかりか有害です。絶対にやめましょう。