金魚すくいで使う、
枠に紙を張った道具のことを「ポイ」というそうだ。
高2の娘が、文化祭で金魚すくいを催す。
ケータイに撮影された
教室の飾り付けもなかなかかわいらしい。
これはぜひ見に行きたいと思ったが
娘は『絶対に来ないで』と言う。
そう言われるとますます行ってみたくなるのが人情である。
もう10年ほど前になるが、
焼き鳥屋でひとりで酒を飲んでいるときに、
隣に座っている男が話しかけてきた。
『わたしは金魚をたくさん飼っているんですよ。
卵を産ませて稚魚を育てるんです』
何か不自然なものを感じさせる男だった。
刑事だったような気がする。
室生犀星の「蜜のあわれ」は、
老人と金魚の艶っぽい話である。
読むとめまいがする。
実は自分で金魚を買ったことがない。
家のものがペット屋で買ってきたり、
金魚すくいですくってきた金魚の
世話係を引き受けているのである。
と言っているうちに、昨日、高2の娘が
文化祭の出し物の金魚すくいで売れ残った金魚を、
また8匹も持って帰ってきた。
裏庭の金魚鉢が賑やかになった。
過去の教訓を生かして、エサはあまりやらない。
金魚は食べ過ぎると死んでしまうからだ。