人間の行動は、快感原則、現実原則というふたつの対照的な原則に基づいている。
(快感原則)
衝動的な願望充足へと駆り立てる、一次的な行動原則。無意識的である。
(現実原則)
性的衝動から一定の距離を置き、思考・仕事・遊びにエネルギーを向けなおす。二次的プロセスが存在するため思考が働く。快感獲得の遅延や延期に耐えることを可能にする。
「昇華」は現実原則に基づいて、現実に適応するために、性的な欲望のエネルギーを、他のものに向けなおすことである。性的欲動の抑圧ではない。快感原則と現実原則(昇華)はどちらも緊張の放出が目的であり、対立しない。
「快感」と人間の内部から生じる興奮、刺激、緊張を放出した結果得られるものである。
すべての行動は、緊張の軽減に奉仕する。
人間は、本能的に快楽を求める。しかし、現実は快楽よりも苦痛のほうがはるかに多い。そこで実際は快楽を求めるよりも、苦痛を避けることにより多くの努力を費やすことになる。